カーボンプライシングについて

ビジネス&経済

環境省と経済産業省は2050年までの脱炭素社会への実現に向け、カーボンプライシング制度の導入検討を開始しました。

本日はカーボンプライシングや主な施策、今後の各国の動向について紹介していきます。

カーボンプライシング(CP)とは?
CO2などの温室効果ガスの排出量に価格をつける仕組みのことで、企業などが排出する温室効果ガスにコストをかけることで排出量削減を促すものです。

既に導入・検討が進められている国及び地方政府は以下の図の通りです。

(世界で導入されているカーボンプライシング(2017 年時点) 環境省HPより引用)

欧州などの先進国を中心に導入が進んでおり、導入済み又は数年内に導入予定であるカーボンプライシング施策によりカバーされる排出量は、世界の排出量の約15%となります。 加えて、2017 年末に方案が発表された中国の全国排出量取引制度により、カバー率は約 20%に拡大する見込みとのことです。

カーボンプライシング制度で管理されている温室効果ガスが世界全体の排出量の約2割であるというのは覚えておいてもいいかもしれません。主な国内外のカーボンプライシングの導入時期は下表をご参考下さい。


(国内外のカーボンプライシングの導入時期 環境省HPより引用)

カーボンプライシング制度には具体的には主に以下2つの施策があります。
①炭素税


化石燃料や排出されるガスの炭素含有量に基づき決められる税金のこと。
日本では、2012 年 10 月から地球温暖化対策のための税(温対税)として、全化石燃料に対して 289 円/tCO2 の炭素比例の課税をしていますが、炭素税の導入が進んでいるアイルランドなどの欧州各国と比較すると1/10以下の価格で推移しています。

(主な炭素税導入国の税率水準 環境省HPより引用)

②排出量取引制度


企業の温暖化ガス排出量に上限を設け、その過不足分の排出枠を売買取引する制度のことをいいます。
2021年3月26日の日本経済新聞朝刊にて欧州では排出削減目標の引き上げによって、取引価格が昨年末より約3割高い価格5,500円/tCO2まで上昇したとの記載がありました。

さらに、EUは温暖化対策が不十分な国からの輸入品に対し、「国境炭素税」を2023年までに導入する方針です。排出量取引が適用される欧州企業のコスト負担が他国の企業よりも重くなり、競争で不利になることを懸念しているようです。米国も検討しており、日本企業が欧米と貿易をしたり、経済活動をするうえでコスト増になることが今後想定されます。

まとめ

CP施策については過去に日本で何度も取り上げられてきました。その都度各業界からの反対意見により実現されていませんが、現在の世界の動き、今後の日本への影響を考慮すると、導入を検討するべき時期なのかもしれません。

個人的な意見としては、国境炭素税を払うくらいなら、日本でも炭素税などのCP制度を導入し、国内の脱炭素に係る取り組みや技術革新の推進を図るべきなのではないかと考えます。今後も環境省と経済産業省の動きに注目していきたいと思います。

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